「死にきれないあなたのお手伝いをいたします」
死を望む者のもとにどこからともなく届けられる白いカード。
それは〈自殺幇助業者〉への連絡手段。
そこにある二次元コードは人々を、そして業者自身をも思わぬ結末へと導いていく。
自殺幇助業者・・・怪しすぎます。
様々な悩みや過去。
「死を望む」人たちのもとを訪れる
有限会社さんず〈スーサイド・サポート・サービス〉のカトウとスガ。
自死の妨げになっているものはなにか。心残りは。どういった死を望んでいるか。
ヒアリングを行い、全てを解消して、客の望む死を実現する。
真面目でお堅い印象なカトウとチャラそうな雰囲気のスガの二人が
客の希望を叶えていきます。
こんな怪しい会社ですが
〈サンチャン〉というマスコットキャラがいるようです。
カトウいわく、
「三途の川に生息するカッパで人々に癒しを与えるという、弊社の理念を象徴する存在」
だそうです。普通の企業みたいですね。
そもそもこの会社の目的って・・・ 読んだ感想 ※ネタバレなし
全部で5つの物語があります。
・アルバイトが自殺未遂をし、周囲の態度と激務に苦悩するコンビ二の雇われ店長。
・愛する人の為に一刻も早く行方不明になりたい女性。
・蝶のコレクションをふさわしい人に譲ってから死にたい男性。
・保険金が欲しい元半グレの居酒屋店主。
・同僚から性的暴行を受ける女性教師。
様々な人が死を望んでいるが死にきれない。
いろんな悩みや過去をもっている人がいるなぁと思いつつ、私はどちらかというと
〈カトウ〉と〈スガ〉が何者でなんでこんな仕事をしているのかが気になっていました。
有限会社さんずの目的や、〈カトウ〉と〈スガ〉の過去が少しずつ明らかに
なっていき、とある依頼者と出会うことで、ある過去と繋がっていきます。
一見関係なさそうな物語が別のものと繋がっていくときというのは、毎回驚かされますね。
読んでいてちょっとした一言で、え?ってことは・・・、と気づいた瞬間は
ミステリーを読んでいて一番面白いです。
ただ・・・内容は面白かったのですが、本の帯について
「極限のどんでん返しに翻弄される」とか「驚愕の結末」という文字が・・・。
ん~、そこまでではなかったかなというのが正直な感想です。
帯の文字に私が勝手に期待しすぎるから悪いんですけどね。
あまりミステリーを読んだことがない方や
帯の内容なんてそんなに気にしないよ
という方は十分楽しめると思います。
最後に
ここまで読んでくださってありがとうございます。
降田天さんは
執筆担当とプロット担当の二人で活動している作家ユニットです。
初めて読んだ作品は
〈偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理〉
ですが、この作品が面白かったので、今回本屋で思わず手に取りました。
本作の終盤での〈カトウ〉と〈スガ〉の会話から
もしかして続編があるのかな?
といった終わり方だったので、その時は読んでみたいですね。